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朗読劇 「ゆくへ知られぬ宇治の恋」 in 京都府庁旧本館
IMG_8471朗読

 今日は京都府庁旧本館の春の一般公開最終日。この日は懇意にしている朗読サークル木もれ日の朗読劇が催され、とりを飾った。

 今回の演目は2月に出来上がったばかりの脚本で、今日が初演になる。舞台は宇治十帖、浮舟という女性の物語だ。源氏は既に亡くなっており、匂の宮と薫、そして浮舟の俗に言う三角関係か。

 本庁の一般公開も最終日で、昨日からの雨も午後になってやっと快晴となり、いい日になった。ここの建物と桜もちょっとお使いものにする用事があるので、1時間半前に到着して使えそうな画をどんどん切り取っていた。この間来たときには、時間とメモリー切れで中途半端だった。
 中庭を囲って廊下があるので、様々な角度で捜してみる。こうして2階の東廊下を歩いていると(確か2周目だ)、向こうから見知った顔が。いつもの舞台衣装ではない、普段の姿のサークルの一人だ。

   ああっ!お久しぶりです。今回も来ましたよ(^.^)

 手を取り合って再会を喜んだのだが、そこがちょうど楽屋の前だった。古めかしい(そうだろうとも、明治の建物だ)ドアを開けて入ると、いつものみんなの笑顔があった。前回と演目が異なるため、衣装もがらりと変わる。全てメンバーの手作り。いや、正確には京言葉担当の、土川さん製作の作品だ。これにまつわる逸話も聞いた。とても笑える話だが、あまり関係ないのでここでは触れないでおこう。
 毎回の事ではあるのだが、いつもビデオ撮りをしているがスイッチを入れてもらえる人がいないので、今回も頼めないだろうかと言うことだったので、快く承諾。

IMG_8484正庁窓
正庁前の窓

 席を確保し、三脚に乗せたビデオを持って一番後ろの真ん中に据える。どんどんお客が入ってきて、ビデオカメラの視界に入るところに立った人には、申し訳ないがと断って前を開けてもらった。そこに低いアルミの脚立を持った男性。腕章に京都新聞とある。この催しにはいつも取材に来てもらっている。

   ここの横、いいですか

   はい、どうぞ。いつもお世話になります(ぺこり)

 この話をあとでみんなに伝えると、どっと笑いが起こった。

 時間が来て私はビデオのズームを調節し、録画スイッチを押すと自分の席に戻った。

IMG_8437朗読
朗読劇
 
 浮舟という女性は、私の中ではちょっと存在感が薄いイメージがあった。源氏物語も最後の方で、ちょっと優柔不断かなとも思ったこともあった。妾腹の認知されなかった経歴にくわえ、亡くなった姉の代わりにと、よく似た自分が召されてしまう。女としては普通嫌がる過程ではないだろうか。しかし養い先でも疎まれていては、望まれて連れ出してくれる人をどんなに嬉しく思うか。
 だが卑屈に育った彼女は素直になれない。薫がどんなに優しい言葉をかけたとしても、引け目を感じてしまう。本当は素直に彼の胸の中に飛び込みたかったのだろう。現在で言うところの、白馬の王子さまか。でも飛び込んで心を開くことができなかったのだ。

 なぜだ?

 それは薫の瞳は浮舟を通り越して、なくなった大君を見ていたからだ。愛されたいのにおのれを見ていない薫。そこに付け込んだのが匂の宮だ。対称的なふたりの中で、結局どちらにも心を開くことのできなかった浮舟。やはり過去の辛い生い立ちのせいなのか。誰にも相手にされなかった自分を、ここまで愛して必要としてくれる匂の宮。自分一人を愛そうとする男性ふたりを押しのけて、彼女が選んだ道は自刃することだった。それはふたりの間で揺れたおのれの心の贖罪。

 しかし死の淵で見たのは強く生きてゆけという、姉である大君の幻。一人の男性を愛するより、御仏のご加護の元に、多くの人を愛して救いたい、これはおのれが辿ってきた生い立ちを思えばこその選択だ。

 ひとりでも辛く寂しい境遇から救いたいと願うのは、偽善過ぎた話なのだろうか。自分がその痛みを知っているからこそ、そのような人を救いたい。自分を犠牲にしてまで救いたかったのは、本当は彼女を奪い合ったふたりの男ではないだろうか。そして誰にも心を開くことのできなかった、ふがいないおのれの弱い心。気持ちの上では薫を慕っていたが、薫の視線はもっと遠くを見つめている。匂の宮は情熱的だがその分、支配欲が強い。

 いずれにせよ、一度死んだも同然の浮舟は尼として生きていくことを、死んだ姉に誓う。今度こそもう迷わずおのれの道を進めるだろう。自分を愛した男たちのやるせない心を引導しながら。

IMG_8497月
月が昇る

 朗読劇が終わった頃、東の空には月齢十日の月が、青い空に白く輝いていた。それは優しく見守る浮舟の控えめな心だったのかも知れない。

IMG_2239宇治川と宇治橋
宇治川に架かる宇治橋

 宇治川は、今も昔も、蕩々と豊かな水をたたえている。今ほど浅くはなかっただろう宇治川は、それでも見る人の心をかき乱してならない、不思議な魅力を持った深い流れだ。
ユーザータグ【 源氏物語 京都府庁旧本館 浮舟
【2009/04/05 22:34】 イベント | トラックバック(0) | コメント(0) | Page top↑
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