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襖絵見学ツアー報告レポート @妙心寺塔頭退蔵院
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その1 

 次の時代に文化を残す、簡単で実はとても難しいことなのかも知れない。文化を創ってもそれを守り続けるという、とてつもない持久力が必要なのだ。

 今、それをやろうとしているのが退蔵院。桃山時代に描かれた襖絵が傷んできており、それを新しくするに当たって新人の絵師を発掘、そして育てることになった。何百年も保存されてきたように、この先また何百年先の人たちに託せるような襖絵を描くために選ばれたのが大学院を卒業したばかりの村林由貴さん。ちょっとシャイな感じの笑顔がかわいい女性だった。

 詳細は退蔵院のオフィシャルサイトをご覧いただきたい。3月16日、その見学ツアーに行って来た。2月には東京でのイベントも行われ、とても盛況だったと聞く。この先の見学会は今のところ予定はされていない。この2月で一区切りが付き、次の制作に入るためだ。いいタイミングで参加することができた。

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その2

 普段は入ることができない本堂でこのプロジェクトについての説明を聞き、狩野了慶の襖絵を間近で見て、墨が薄くなって時代の流れの長さを感じる。その後は退蔵院の見学。もちろん、副住職の解説付きという豪華さ。

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その3

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その4

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その5

 本堂の窓から狩野元信の庭を見る。一般拝観ならこの位置からは見られない。

4-IMG_7567.jpg
その6

 この鶴の画も、縁側に上がらないと正面からは見られない。瓢鮎図の解説も知っては居たがやはり笑える。何事に対しても考える過程が禅の教えなのだ。

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その7

 ここで庭園へ移動となった。

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その8

 先月訪れた時には固いつぼみだった枝垂れ梅も、この時には満開。いい香りが辺りを包む。

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その9

 昭和の時代、現在の庭園は竹林となっていたそうだ。花が咲き枯れてしまったのでそこを新しく作り直したのが今の余香苑。3年もの年月を費やして作庭されたとか。その時に3本の枝垂れ桜を植樹されたのが先々代のご住職だった。50年を経て、今や屈指の桜の名所となった。

 ここで瓢鮎図のひとつの回答。瓢箪にナマズを入れることは困難だが、瓢箪の形をした池にナマズを入れることはできる・・・

   ふむ、なぁるほど・・・

 と、感心することしきり。参加者からも大きなため息が漏れた。さあ、これからいよいよ制作現場へと入る。現場はここの隣、壽聖院の中で行われている。

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その10

 普段は非公開の壽聖院、本堂の前に広がる景色。現場は撮影禁止。また筆が入る可能性もあるからと言うことだった。本堂で村林由貴さんの自己紹介とこれまでの生い立ちなどを聞き、既に描き終わっている襖を見学。元々日本画を学んでいたわけでもなく、デザインを専門にしていた彼女。普段我々が目にする襖絵だとか日本画とは全く異なった斬新なタッチと図柄。茶室では夏から秋にかけての瑞々しい野菜や植物の影に隠れて、たくさんの虫や小鳥たちが描かれている。一見すると、何かの絵本を見ているようでとても楽しい。質問をしたら、やはり生き物が大好きだと言うことだった。ただ単に生き物が描かれているのではなく、羽化したばかりの蝉だとか、盛りが終わった牡丹の散りかけた花びらだとか、この世全ての生から死、そして再びこの世へ生まれ変わる、そんな世界が描かれている。
 右回りにお話しが続いているような流れがあって、最後は床の間からたわわに実った葡萄の蔓を飛び立った四十雀が、まさにお庭へ飛んでいくような生き生きとした画だ。生き物が好きな私としても、宝探しをしているような、隠れんぼの鬼をしているような気分だ。

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その11

 その襖の裏側は小部屋。桜の花に生き物たちが見え隠れし、冬の松には雪が積もり、蓮の葉にはトンボ、そして何より力強い鯉が空へ向かって滝登りを試みようとしている、迫力のある絵柄だ。

 日本画とか墨絵などにこだわらずに思いの丈を絵筆に込めて描いた襖絵は、今にも広い世界に飛び出してきそうだった。デザインが専攻だったと言うことが、形式にこだわらずに描くことの自由さもあるのだと思う。これまでポップな色使いでアクリル絵の具を操り、数メートルもあるような作品を描いてきた大胆な感性。それがこのプロジェクトを成功させるひとつの要因だったのかも知れない。その墨の使い方は、モノクロであるのにそこに色が付いているように見えるのだ。

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その12

 初めは60枚あまりの予定だった襖絵は、今では200枚あまりにまで予定が増えてしまった。後世に残すために最上級の人とものが集められ、職人技の全てが集結したのだ。こうした職人技も使わなければ後世に残せない。途絶えたものは二度と甦らないのだ。そう言った意味でも今回の襖絵プロジェクトは大きな意義があると言えよう。

 新しく描かれた襖絵はまたお披露目もあるそうだ。それが待ち遠しい限り。できあがった暁には退蔵院の本堂を飾ることになるのだが、これまで守り受け継がれてきた襖絵は季候のよい時期に出され、彼女の襖絵は気候の厳しい時期に使われることになりそうだとは、副住職の弁。

 まあ、それでもいいではないか。600年も昔の建物と平成の時代のもの、どんなマッチングを見せてくれるのだろう。本格的な制作に入る前には、1年間の禅の修行まで積んで挑んだ平成の大プロジェクト。村林さんの精神の成長の現れでもあると思う。それを現すためにどれだけ多くの人たちが協力し、力を合わせてきたことか。その頂点に居ることのプレッシャーは想像に絶する。
 しかし、副住職は笑って仰った。

   この文化財の本堂に入れる襖絵を描けるのは、なんにも考えていないか、
   それとも半端ではなく図太いかだろう・・・

 そう言いながら信頼を置いているのは明らかだ。そんなプロジェクトが行われた時代にいたことを、私はとても感謝するともにプロジェクトに参加された方たちを応援したいと思う。本当にいい機会に恵まれた。この日に感じた思いは、とても言葉では言い表せないほどだった。

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その13

 気が付けば予定時間はとうに過ぎていて、参加者全員とても満足した笑顔で帰っていった。
【2013/03/24 22:00】 イベント | トラックバック(0) | コメント(4) | Page top↑
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コメント
shuさん、こんばんは。

妙心寺に来ることも初めてと言う方が殆どでした。
次も機会があれば申し込みたいと思って尋ねたら、
そんな答えでした。
数々の感動があって、言葉でどう現したらよいのか解らないほどです。
こんなつたないレポートに喜んで頂けて、
本当に嬉しいです。
【2013/03/25 20:10】 URL | 阿修羅王 #QmhNi1cU[ 編集]
youpvさん、こんばんは。

平成の絵師ですね。
まだ全部完成したわけではないのですが、
できあがるまでの過程を見学してきました。
妙蓮寺などでも新しい襖絵がありますが、
きっと何百年前の人たちもこんな感じで描いたのでしょうね。

【2013/03/25 20:06】 URL | 阿修羅王 #QmhNi1cU[ 編集]
そうでした忘れていました。こないだ、来たんです。
丁度この日に私が申し込んでたキャンセル待ちの落選メールが(^^ゞ
残念でしたけど、こうして詳しくレポートしていただき、
その雰囲気が伝わってまいりました。やっぱり小人数で
しかも選ばれた人たちを対象にということで見学させる方にも
熱が入るでしょうね。素晴らしい体験をされよかったですね。
冒頭のミツバツツジも美しいなあ。
【2013/03/25 08:05】 URL | shu #PBcfH1xE[ 編集]
おはようございます~。
こういったイベントがあったのですね。
非常に興味深く内容を拝見させていただき
ました。
【2013/03/25 06:36】 URL | youpv #7yu2AX4I[ 編集]
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