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阿修羅王

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失われていくもの at 勝持寺 その2
IMG_5030羽毛
朝露の付いた羽毛
 
 昨日はもとより、ここのところ目が痒くて充血するし、ごろごろと違和感が強い。そして鼻もむずむずしたりくしゃみが出たり。あまつさえ痰も絡みやすい。風邪をひいた感じもなく、気管支が弱くて、確かに痰は出やすい私だ。しかしこのところおかしい。
 そしてわかった原因。昨夜のニュース。黄砂が飛んでいるとか。道理で空もどこかどんより。目の調子も気管支の調子も悪いはずだ。

 やれやれ・・・ 荒れ果てたゴビ砂漠や中国の荒れ果てた農地や山岳地帯を考えるとうんざりだ。

IMG_5006仁王門
仁王門

IMG_5013r仁王さま
仁王さま

 昨日の続きを。

 賑やかなご一行様は、ようやく仁王門までやってきた。ここまで来るとす・・・っと空気が澄んでくる。どこがどうと言われても説明のしようもないのだが、ぴんと張り詰めた結界に入る、とでも言おうか。

 遙か石段のその先にはいつもの光景が見える。

   仁王さま、また来たわよ。ごぶさたしました

   よくぞ来たな・・・ 待っていたぞ、おまえらを

 鎌倉時代に建てられた仁王門。重要文化財の金剛力士像は、今回も険しい顔で我々を見下ろす。応仁の兵火を逃れた仁王さまは、その引き締まった筋肉を見せつける。

 人の筋肉そのままのようなたくましい腕。それを見ながら門をくぐる。その途端、現世と隔たれた空間に閉じ込められる。冷たい空気が我々にまとわりついていく。ひんやりと、だがどこか優しい空気だ。観音さまの優しい腕(かいな)のようにも感じる。

 長く急な坂道をゆっくり登っていく。確かに厳しい坂道かもしれないが、現世からほとけの住まう異世界へと切り替える連絡路だ。この坂道を通ることで気持ちを静める。確かに楽をしたければ車でも行ける道があるが、それではほとけに対して敬虔な気持ちにはなれないだろう。
 仁王門はやはりくぐって来るべきだろうとは、我々3人の共通した意見だった。近道をしたのでは、あの立派な仁王門や金剛力士像を拝見することはできないのだ。

IMG_5127開門
開門した南門と庫裡

 門の前でしばらく開門を待ち、境内へと吸い込まれて行った。そして目の前にそびえる大きな茅葺きの屋根は、腕を広げて待っていてくれた。
 よく見ればその母なる大きな屋根は、そこかしこが傷んでいるのが目に付いた。とても胸が痛む姿だ。最後に屋根を葺き替えて何年経つのだろう。

IMG_5044屋根1
屋根その1

IMG_5055屋根2
屋根その2

IMG_5051.jpg
屋根その3

 この大きな屋根が何年もの間、この古刹の目印となっていた。1477年に終息した応仁の乱。その後に建てられた建造物は代々の主により、大事に守られてきた。それもこれもこの立派な茅葺きの大屋根があったからだ。しかし職人の確保も難しくなり、また、材料の茅の確保さえもが現在ではかなり入手困難となってしまった。これだけ大きく立派な屋根に使う茅だ、ちょっとやそっとの量ではない。

 葺き替え諦めざるを得ないのは、当然の決断だったのだろう。

IMG_5048西行像1
西行像その1

   わしもそう思うよ・・・ 仕方のないことだがな・・・

   誰? 誰かなにか言った?

 私は振り向いた。

IMG_5067西行像2
西行像その2
  
   わしじゃよ、阿修羅王・・・

   ああ、西行さん。
   そうやね、仕方のないことと言えばそうかもしれへんけど、やっぱり寂しいやんなぁ。
   うちはな、ここに思い入れがあるわけやないけど、
   やっぱりずっと守ってきたものが自分の代でのうなってしまうと言うのは、
   それを決断した本人が一番辛いと思うんや。そしてな、ここが思い出の場所になっている人。
   故人とのつながりがのうなってしまうと言うのは、どれほど辛いことかと思うと、
   私には関係なくてもその気持ちが痛いほどわかるんや。

IMG_5072塀の向こう
塀の向こう

 西行像はそれ以上は何も語らなかったが、彼も苦渋の生涯を過ごし、思うことも多かっただろう。阿弥陀堂の前に静かに鎮座し、もう何年もの間この大屋根を見てきたのだ。そしてこの桜と紅葉であふれる庭を散策する多くの人を見てきた。その中には一度きりの人もあれば、繰り返しここに癒しを求める人、あるいはこの美しさを求めて季節ごとに訪れる人、等々・・・ その中には鬼籍に入って久しい人もあるだろう。子どもだったものが年を経て来る度に、その成長を目を細めて見てきたこともあるだろう。

 西行像も母なる大屋根も、そんな人の営みをずっと見守ってきた。

 その茅葺きの大屋根がなくなる・・・

IMG_5084.jpg
葉を落としたもみじ

IMG_5088すすき
すすき

IMG_5098西行桜と鐘楼
西行桜と鐘楼

 秋、あれだけ多くの人で賑わいを見せた広い境内も今は閑散として、鮮やかな落ち葉も色を無くしている。もみじの枝は細い腕を空に伸ばし、母なる大屋根を触ろうとする。生命力を母に与えるためだ。すっかり老いてしまった母をいたわるもみじ。
 すすきも既に枯れ果て抗う力もなく、その白い穂を気温が上がって暖かくなった風にその身を任せていた。妙に艶めかしい姿だ。そしてなにも言わなくなった西行が愛して止まない西行桜。来年の早春、再びあでやかな桜花を咲かせるために、静かに深い眠りについている。

IMG_5113ガラス
縁側のガラス戸に映る

 毎年繰り返されてきた同じ光景。しかし来年は違う姿をここに見せるのだ。この姿を、この光景を目に焼き付けよう。もう二度と見ることのできない光景を。同じことを長い縁側のガラス戸は、ガラス乾板に焼き付けようとしている。

 冬枯れの勝持寺には我々3人以外、人の姿はない。それは時間が我々に与えてくれた大切な贈り物だった。

IMG_5132r.jpg
大屋根

 勝持寺を後にする我々3人。来年、この大屋根がなくなるまでに、再びここを訪れることができるだろうか。もっと多くの人も、茅葺き屋根がなくなる姿に涙し、惜しんでくれるだろうか。

IMG_5145.jpg
仁王門に陽射しが射す

 帰り道、寂しい気持ちを振り払うように、我々3人は冗談を言い合って笑い転げる。お腹が痛くなるほど笑い転げた。曲がりくねった長い坂道、そこを転げ落ちるほどに笑い転げた。しかし再び仁王門をくぐるとき、今一度仁王さまを敬虔な気持ちで静かに見上げる。
 数多くの時代を見てきた彼ら。今も変わらずこの静かな土地で住民を見守ってきたのだ。そしてこれからも。その身体が朽ちるまで永遠に見守るのだ。

 こうして我々は記録を収められたことに満足して、勝持寺をあとにした。今回、偶然とは言えraukeさんyoupvさんに出逢い、raukeさんの思い出のある茅葺きに触れることができたことで私の方がいい思い出になり、感謝の気持ちでいっぱいだった。


   命さえ 輪廻転生 繰り返し

       消えゆく茅の すがた悲しき
   阿修羅王

       


 この続きのレポートはまた今度。
【2009/12/27 15:38】 神社仏閣 | トラックバック(2) | コメント(6) | Page top↑
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コメント
雅堂さん、こんばんは。
あなたもここにゆかりのある方でしたか。
本当に残念なことです。時代の流れと言えばそれまでですが、
私としてもそれだけで片付けたくはないのです。

こんな形ですが、少しでも記録が撮れたらと思います。解体中も拝観できたら入って、工事の様子を撮ります。今度はフィルムに残したいと思っています。この日は雨模様になるかもということで、フィルムは持参しませんでした。

一部、涙ぐみながら記事を打ち込みました。raukeさんの心情を、痛いほどに感じてしまいました。彼のお父様との思い出だそうです。
【2009/12/29 22:29】 URL | 阿修羅王 #QmhNi1cU[ 編集]
こんばんは。
つながりが無くなってしまうかなしみ。
ぼろり、と涙がこぼれました。このお寺は幼い頃に父と良く参りました。それでも、西行法師さまが仰りそうなことですね・・・。そういえば、正倉院の天下に曝して公開していた頃にぼろぼろになった宝物も、修復までにあと200年掛かるそうです。諸行無常といいながらも、こういうものは静かにずっとそこにいて欲しいです。この写真は後世の方々にとって、とても貴重なお写真になることでしょう。
【2009/12/29 17:45】 URL | 雅堂 #-[ 編集]
youpvさん、おはようございます。
こちらこそありがとうございました。とても嬉しかったですよ。いい刺激になりました。
私も紅葉の頃に訪れましたが、まだどこか信じられない、信じたくない気持ちでいっぱいです。
また、訪れたいです。

TBありがとうございます。エキサイトはfc2と相性が悪いのか、以前も試したことがあるのですが、TBかからないのです。
【2009/12/28 08:05】 URL | 阿修羅王 #QmhNi1cU[ 編集]
ひげさん、おはようございます。
この件を聞いたときに、本当にショックでしたね。
たとえば清水寺のような大きな観光寺なら、資金にしろ材料にしろ集められたかもしれません。
しかし有名とは言え、静かな古刹です。
運営は難しいです。

全国に募集など、かけられないでしょうかね。
【2009/12/28 08:00】 URL | 阿修羅王 #QmhNi1cU[ 編集]
おはようございます。
先日は突然ですがご一緒していただき
ありがとうございました。

最近では紅葉の時期に訪れており、
茅葺き屋根と紅葉の美しさに感動を
覚えていましたが、それが最後になって
しまうとは思ってもいませんでした。

あと何度から足を運んでみたいと思います。

TBさせていただきましたので宜しくお願い致します。
【2009/12/28 07:50】 URL | youpv #aS7xe8lU[ 編集]
あーちゃん おばんです。

じっくりと読ませていただきました。
古都、京都でさえも時の流れに抗えないんですね・・・。

あーちゃんのこの記事が読む人の心の中に染入っていくと思います。なにかしらいい方法が無いものでしょうか・・・。、
【2009/12/27 18:34】 URL | ひげ #-[ 編集]
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