
その1

昨日の続きを。先月20日まで開催されていた細川護煕氏の襖絵と屏風。建仁寺の塔頭正伝永源院が細川家の菩提寺と言うことで、依頼されて描き上げた襖絵と屏風だ。芸術家である氏は、一時京都造形大の学園長を務めたこともある。首相まで昇った方が、京都に多くの深い繋がりを持っておられることだけでも、なにやら嬉しい。ともあれ、このような機会はもうないので、見ておこうと。
この書も漢詩をしたためたもので、一双の屏風になっている。畳二枚分くらいの、大きなものだった。暗がりにそこだけ白い和紙が浮き上がる。
受け付けでは、撮影可能だと説明があって、もちろん大喜び。正伝永源院で公開された時は、撮影禁止だったそうだ。きっと多くの人で混み合って、他のものも傷つけられる可能性があったための措置ではなかっただろうかと考えられる。以前、こちらで行われた綴りプロジェクトでも、複製品の撮影は可能だった。それこそどうぞどうぞと言わんばかりで。複製品と言っても本物そっくりなので、本物をしっかり見て欲しいという趣旨だったのかも知れない。

その2
そしてこれが落胤。きっとこれもご自分で彫られたのではないだろうか。

その3
玄関を入ると、まず目の前に迫ってくる大きな作品。これは力強い。

その4

その5
さあ、ひとつひとつ、ゆっくり見ていくとしよう。なので、キャプションもなしで。

その6

その7
小書院の襖。

その8

その9

その10


その11
大書院の大広間に並べられた襖絵は圧巻。なんでも古いいい墨を使って、落ち着いた色を出したそうな。

その12

その13
大書院、小書院の掛け軸。この大胆さのデザインがとてもいい。下に小さく見える獅子の香炉も氏の作品。庭に点在していた仏たちも氏の作品なのだ。

その14
方丈での展示はこんな感じ。右手の奥なのだが、こちらの方がちょっと格好いいなぁと・・・ では、法堂へと進む。

その15

こちらでの展示もまた凄いことになっていた。氏の奥さまのブログでも紹介されていたが、これは釈迦如来さまもびっくりだったに違いない。

その16

その17

その18

その19
薄暗い法堂に、白い紙と力強い筆遣いが襲いかかるばかりの迫力に、しばし呆然とした後にやっとシャッターを切った。

その20

その21
もう一度小書院で眺めたら、ちょっと休憩。氏の作品でお茶が頂ける。

その22
こちらが書院に併設された茶室。まだ杉の香りが微かに残っている。できてからもうかなり経つと思うのだが。

その23

その24
依頼で描いた襖絵、「秋聲(しゅうせい)」のような色使いに見える。氏の作品は、茶道具資料館でもそこでお抹茶を頂いたことがある。多分、今でもお茶碗を使っていると思うのだが。
きっぱりと政界を退いたあと、これだけの素晴らしい作品を作っていけるというのは、なんと幸せな事なのだろう。芸術は実生活には直接関係ないものかも知れないが、心を豊かにするものは芸術しかないのだと、これらを拝見していると心底そう思える。
ちょっと忙しい日程だったが、やはり行ってよかったと思える作品だった。

その26

最後は、あまりにも長くて合成もうまくいかなかったが、お決まりのパノラマ。