
鞍馬寺仁王門
今度雪が降ったら何処へ行こう。そんな話をしていた矢先、関東方面まで大雪になった日曜は節分寒波だった。予報に反して雨が雪になっていた。
寒がりの私はこんな時だけはフットワークが軽くなる。前の晩から出掛けられる準備をしておいたので、さっさと電車に乗った。叡山電鉄鞍馬線の終着駅。出町柳から約30分の道のりだ。山裾に近くなるに連れ、電車内の気温が下がっていくのがわかる。

パノラマカー
電車はパノラマカーだった。紅葉の季節はライトアップされる叡電。それを見物しやすいように外向きにシートが取り付けられていたりする特別車両。乗客が少なかったので、二人掛けのシートにゆったり座ることができた。

巨大な天狗
駅に到着すると、まず出迎えてくれるのがこの巨大な天狗。知っているから驚きはしないが、最初見たときは度肝を抜かれた。可哀想に鼻の先を擦り剥いている。かといって彼の鼻に貼れるほどの大きなバンドエイドは持ち合わせていない。
天狗を左手に坂道を下り、花脊に至る鞍馬街道をほんの数十m歩くと長い石段の下に着く。駅から近いのがありがたい。思ったより人の姿も少なかった。それもそうだろう。午後からは節分の追儺式(ついなしき)が本堂で行われるが、まだ朝も早い。
仁王門を入ってすぐのところに、ケーブルカーの駅がある。その昔、信徒の方々の寄贈で設置されたケーブルカーだ。天気のよい日ならこのまま歩いて本堂まで登っていくが、足元が悪いので100円払って乗せてもらう。

比叡山山頂
本殿からの眺めはすごい。眼下の谷を越えた向こうに見えるのは比叡山の山頂。展望台とアンテナの塔が見える。大原の辺りは白い霧に覆われていたので、多分雪でも降っているのだろう。
本殿に上がるそのすぐ下に、転法輪堂という大きなお堂がある。ここは写真撮影が禁止。奥には1丈6尺というから、3m強の阿弥陀さまが鎮座している。その光背とも言える背後には万国戦没者が祀ってあった。阿弥陀さまとは格子で区切ってあったが、ちょうどお顔のところだけ窓が開けてある。お参りする場所に座ると、阿弥陀さまと眼があった。静かなお顔をしているのに、妙に眼だけは炯々(けいけい)と光って見える。本堂左脇の小柄な毘沙門天もそうだった。妙に眼だけがじっとこちらを見据えている。正直に生きて行くようにと言われているかのように感じて、背筋に痺れが走るようだった。
ところでこの鞍馬寺というところはおもしろい。これまでは牛若丸や鞍馬の天狗という観点でしか見ていなかったが、宗派は何だろうと思ったところから始まった。本殿には尊天という形でご本尊がお祀りしてあったので、尊天とはまた怪しげな、と思った。新興宗教かと。
確かに昭和22年に鞍馬弘教(くらまこうきょう)として独立した総本山らしい。牛若丸の時代とは全く別物と思ってもいいかもしれない。寺の言われも、650万年前、金星より地球の霊王として天より降り立った護法魔王尊と、毘沙門天王、そして千手観世王菩薩の三位一体で本尊となっている。その天から・・・という護法魔王尊、ひょっとして異星人?天狗はその子孫?だからあのような異形の姿なのか?そして高いジャンプ力。超能力でも使えたのか。
そんなことを思った。1年半前に来たときはパンフレットを読んでもぴんと来なかったが、お寺なのにお寺らしくなく、どちらかと言えば神社もしくは地神をお祀りしてあることも多く、宗派を問わないのがここの特徴のようだ。自分の思うように尊天の霊気を受け、真実にめざめ強く生きるようにとパンフにも記載されていた。
ただ写真を撮りに来ただけであったのに、なにやら考えることが多くなってしまった。
この続きはまた今度。もう少しだけ打たせて頂く。

今日のおまけはこれ。仁王門に上がる石段の手前にある駐在所、白バイは雪が多く山間の地の利に合致したオフロード仕様のツーサイクルエンジンのバイクだった。